「スマート・テロワール」とは

カルビー株式会社の創業者である故松尾雅彦氏の著わした

『スマート・テロワール 農村消滅論からの大転換』

(学芸出版社刊)において提唱された概念です。

『スマート・テロワール』の主張を要約して示せば次の通りです

○「スマート・テロワール」は日本社会救済の切り札です

この実現によって、今 東京に養われている農村部が 30年後東京を養っているでしょう 

 

〇日本の難問は「向都離村」であって 「少子高齢化」ではない

日本を基礎自治体人口で3分割し、その5年間推移を比較する

大都市部(政令指定都市など) 4250万人 人口推移104%

農村部(12万人未満の市町村)4250万人   同    96% 

中間部(12万~70万人)    4250万人   同   101% 

農村部から大都市部へ大移動しているのは主に20代、30代の若い人たち

若い女性の向かう東京の出生率は1.17 若い女性が出産も子育ても困難な

大都市に一方的に移動していることが少子高齢化の原因 農村が消滅して大都市へ向かう若者がいなくなれば大都市も消滅する

 

〇女性の職場を農村につくる

穀物の栽培を奨励し、穀物を原料とする加工食品の工場を農村部に迎えれば、女性職場が復活する 加工食品産業は、全国の1億2千万人、365日の平準的な消費に支えられて地域経済の安定に貢献する

 

〇60年安保改定から40年 食料自給率は1965年に73%が40%に下落

日本人のライフスタイル、食文化の変化はカロリー摂取量の構成比を大きく変えた おコメの構成比は45%から25%に縮小、畑作の穀物類の構成比は35%から55%に増加した 特に畜肉需要が急増し、これに飼料用トウモロコシと生肉の輸入で対応した 

 

〇未利用資源に溢れた農村だけが“日本唯一のフロンティア” 

なぜ耕地は未利用資源化(休耕田100万ha+耕作放棄地50万ha以上)するのか?

米国とのMSA協定、日米安保それらに付随する農業基本法制定で五穀の内、稲作だけを選択・集中し、「五穀豊穣の国」が、「瑞穂の国」に変わったから

過剰になった水田を畑地・草地に転換し、小麦、大豆、とうもろこしなどの穀物を栽培し、余剰の穀物、野菜類を原価ゼロで家畜を飼う畜産農家に廻し、見返りに堆肥を得る かくすれば、日本の食糧自給率は70%に復元する

 

〇「スマート・テロワール」は4つの連携で自給圏をつくること

4つの連携とは耕畜連携・農工連携・工商連携・地産地消 

4つの連携で成り立つ地域内水平循環型システムの要には畜産業がある 

自給圏を構築すれば、最強ビジネスシステムになり、加工食品出荷額は20兆円を想定できる 

競争相手は、海外農家と輸入原料に依存する加工食品メーカー 

 

〇「スマート・テロワール」構築の道程は、ホップ・ステップ・ジャンプ方式で

水田を畑地に転換する難事業は、有効性を実証しなければ推進できない

ホップ:大学などの試験農場で「実証展示圃」を開設し、仮説を検証する

     検証に着手して5年以内に地域の「ビジョン」を描き、「農村計画書」をつくる

ステップ:仮説の経済性を最少経営規模で実証する 

ジャンプ:自給圏エリアに全面的に「スマート・テロワール」を展開する

 

TPPが始動したら・・・

農業分野で2つの問題条項 

    おコメ:輸入量の増加7万t・・・現状の生産量800万tの1%に過ぎない

  米国の戦略 コメ政策でムリを云わなければ、日本政府は受け入れるとお見通し 

    畜肉の輸入関税率:16年後に関税率牛肉0% 豚肉は50円/kg

  畜肉輸入が増加すれば、堆肥の生産量が減少してしまう 

  約100万haの休耕田を畑地転換するには、約1000万トンの堆肥増産が必須だというのに 

  堆肥不足は今後拡大しなければならない我が国の畑作物に打撃になり、米国の畑作物(小麦・大豆・飼料など)輸出は安泰となる

 

〇東アジアの恒久平和のために

日・中・韓・鮮の4か国は、どこも農業と農村政策で失敗している 

国民の眼を外に向かせる政治家の「火遊び」は、危険極まりない 

アジアの農村で住民が自給圏内で循環型システムづくりに興ずれば、連帯感を生じる

 

循環型社会を競えば、アジアの各地がこぞって「真善美」の追求に向うことになる