出生率が高くても子供の数は増えない

出生率の高い地域で少子化が進んでいる

 

727日の日経新聞に興味深い分析が紹介された。

「出生率が全国上位10県は10年前と比べ、いずれも率が高まっているのに子供は計16万人減った。率が最下位の東京都だけ子供が純増した」というのだ。

出生率は、県単位で1549歳の女性がどれだけ子供を産んだかで求められる。だから子供を産んでいない若い女性が県外に流出すると、分母が縮小して率は高まることになる。では女性の地方から首都圏への流出動向はどうだったのか。

若い女性が東京へと流失している

 

では女性の地方から首都圏への流出動向はどうだったのか

ニッセイ基礎研究所天野馨南子氏が19年の住民基本台帳を分析したところ、39道府県で92千人の女性が減っていた。9割は首都圏への転出超過だった。そしてなんと20代が8割を占めた。

なかでも東京の女性は47千人の純増。転入超過数は男性の1.34倍。つまり人口の東京一極集中は若い女性や子供で顕著なのだ。

なぜ若い女性が首都圏へ流出するのか。地方には若い女性を受け入れてくれる魅力的な職場が無いこと。あったとしても賃金が安いこと。これらがその理由だろう。

しかしこうして首都圏へ職を求めて転居してきた若い女性のうちどれくらいの人が、果たして適職を見つけて、豊かな生活を手に入れることができたか。

おそらく職は見つかっても、そして多少賃金が高くても、住居費や食費などの生活費が高くつく首都圏の生活に大半の女性が困難に堕ちているのでは無いか。

首都圏の出生率の異常な低さは、結婚ができない、結婚出来ても子供は産めないという実態を

表していると思われるからだ。

こうしてみると東京への人口の一極集中、なかでも若い女性の向都離村こそが日本の人口減少の真因だったということが理解できる。

 

若い女性を東京へ流失させないためには

 

ということは人口の増加を望むのなら、若い女性が地方にとどまるような、魅力的で賃金の高い職場をたくさん創出することが決め手となるということになる。

そして若い女性が地方で増えれば若い人男性も増加し、やがて出生率は上向きに転ずることになるに違いない。

そして何よりも東京に比べて住居は広くて安く、しかも近隣に両親が住む地方は子育てにももってこいの環境なのだと言える。

 

女性に最適職場は食品加工業に見つかる

 

そして女性にもってこいの職場といえば食品加工業がまず浮かび上がる。

なぜかといえば、食品だけに直接の購買者は圧倒的に女性が多数を占めるということから女性の感性が求められる職場なのだ。

製造現場は軽作業が中心で、しかも食品にとってもっとも大切な安全安心に向けた細心の気配りが求められる。

デスクワークも消費者に向けたマーケティング、営業、商品開発、原材料購買、そして物流などなど、いずれも女性の活躍が求められる職場というわけだ。

このように考えると地方に食品加工業を興業して、女性に最適の職場を創生することは東京一極集中を是正し、地方での少子化に歯止めをかけ、結果として人口を増加に転ずる起死回生の一手となる。

 

食品加工業は食料自給率向上の決め手となる

そして食品加工業の原料は小麦、大豆、じゃがいも、とうもろこしなどの穀物と畜肉だ。

これらの主原料を地方で増産して、地元の食品加工業に供給するサプライチェーンを創生すれば、原料から消費までの一気通貫での地産地消が実現し、食料自給率の高度化へ向けての大転換に繋がることになる。

 

食品加工業は日本抱える困難解決の切り札になる

こうして地方に食品加工業を興すことは、食料自給率を改善し、地方の活性化を促し、人口を増加に転じるという意味で、まさに日本の構造的な社会経済問題を一挙に解決に向かわせる奇策になるというわけだ。

  

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コメント: 1
  • #1

    清野 仁 (木曜日, 30 7月 2020 22:40)

    う~ん‼勉強になります。納得です。
    よく地方で人口を増やすために首都圏のリタイア組を積極的に移住させようとしていますが、リタイア組が子どもをもつことはミラクルでしょう。凡策でも週末夕方のTV番組が人気なわけですなぁ?