新年あけましておめでとうございます
昨年は「令和の米騒動」と称される米価高騰によって、政治経済が大きく揺さぶられる事態となりました
令和の米騒動は日本農業の現況について国民の関心を集めることになり、多方面から日本農業の実態についての言説が飛び交うことになりました
とりわけ米を巡っては次に掲げる問題点、課題が浮かび上がりました
米をめぐる論点整理
l 廃止に至ったはずの米の減反政策は「生産調整」という形で継続されていた
l 米の「生産調整」は東日本では生産枠<生産力であることから、強力に実行されているのに反して、西日本では生産枠>生産力の故に、強制力なしにつまり減反なしに実行されている
l 東西の「生産調整」への対応はそれぞれの生産力格差に起因している
l 西日本では高齢化や担い手不足という構造要因で生産力が低下し、従って増産余力はない
l 東日本の米の生産力も10年後には西日本同様の構造要因によって確実に低下する
l 外食産業向け需要や、米菓などの食品加工産業向けの業務用需要が拡大しているが、これらの需要は価格弾力性が低く供給の微妙な変動に大きなリアクションを生じる
l 過去に経験したことのない高温障害が米の品質劣化を招き、消費者向け供給量の減少要因になっている
l これまでのコメンの品種開発・改良は冷害対策が主眼であったが、地球温暖化の傾向が長期化することを前提に高温障害対策のための米の品種開発・改良が緊急に必要となっている
l 食味優先の品種開発によって米の単収は伸び悩み、1970年代初めは世界第3位であったが、現在は世界ランキングで第15位まで後退し、価格面での世界競争力は劣後している
l 食料自給率が100%のコメの生産基盤は高齢化、担い手不足などの構造要因によって弱体化し、持続可能性はさほど強固なものでもはない
l 乾田直播や農業機器の自動化、さらにはドローンによる施肥などの先端的な技術導入による生産性の向上への挑戦が各所で試行され、それなりの効果が確認されているが、普及までの道のりにはまだまだいくつものハードルが残されている
耕地の継続的減少傾向が日本農業の持続可能性を危うくする
米をめぐる生産基盤の弱体化は生産者の高齢化と担い手不足という構造的な要因によって生じています
そしてこうした構造要因は耕地の減少という形で顕著に表出しています
下図を見ていただくと、過去10年間の田畑の面積推移が見て取れます
このグラフによって、厄介なことに耕地の減少は田ばかりか、畑においても進行していることがわかります
田はこの10年で13万ha減少していますが、同時に畑も10万ha消滅しているのです
なんと昭和31年(1956年)に田は332万ha、畑は269万haでしたから、この70年間でそれぞれ102万ha、75万ha消滅しているのです
つまり年平均で田は年間14万ha、畑は10万haずつ消滅し、現在も引き続き同じペースで減少しているということです
耕地減少の要因は宅地転用と荒廃地化に求めることができますが、その真因は生産者の高齢化と担い手不足に期すことができます
この傾向は過去50年以上にわたってほぼ同じペースで続いてきましたが、この傾向が今後も続くとすれば、20年もしないうちに日本から耕地が消えてなくなることになりかねません
耕地を維持するのにはスマートテロワール構想の実現こそが不可欠
悪夢を現実のものにしないためには、次に掲げるような日本の農業の大転換を前提に耕地を維持・拡大していかなければならないのです
l スマート・テロワール構想が前提とする、人口30万人〜50万人の地域単位に、住民参加で、「農村計画図」と「農村長期計画書」を作成する
Ø 市街地をコンパクトに集約する
Ø 農地を水田、畑地、草地ごとに集約し、ゾーニングする
Ø 農村景観デザインを描出する
l 農地の集約、区画の整理による第区画化を円滑に実現するための制度確立
l 給排水システムの整備
以上の農地に関わる構造的な大転換を行うことによって、意欲ある若手生産者が農地の大区画化を前提とした高度な生産システムを導入することが可能になります
耕地面積の維持そして拡大はこうするkとによって、可能性を実現性に変える事ができるのです
そしてこれこそはまさにスマート・テロワール実現の方法論に他なりません
かくして「令和の米騒動」の構造的解決策は、実はスマート・テロワール構想を実現することにつながっていたのです
スマート・テロワール構想を切実に求めることで初めて、米問題も農業問題も農村問題も、解決の道が開けることを再確認することができるのです
今年も協会はスマート・テロワール構想の啓蒙活動と、実践活動の支援事業に邁進してまいります
会員の皆様方のこれまで同様のご支援、そして余力のある方はこれまで以上のご支援とご指導を切にお願い申し上げます
結びに会員の皆様のご健勝とご多幸をお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます
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参考データ

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廣瀬祐 (月曜日, 05 1月 2026 22:09)
このような農業動向の推移は以前(1980年代)から予測されていたが農業政策が産業政策ではなく、政治政策(選挙対策)として実施されてきたためである。日本の農業政策は戦後の土地所有とこれを守るための農地法により食糧生産が経済原則を逸脱したまま今日まで来ていることである。担い手不足は農地法の土地所有原則を産業政策としての生産手段としての流動性を実施しなければ解決しない。また、農地の所有、相続を資産化せず市場原理を導入することにより生産性の低い農地は荒廃ではなく環境保全事業に変更する等の大胆な転換をしなければ農業生産が継続できなくなる。農業生産者が職業として選択される環境の醸成や生産者としての経営能力、技術力に関する認定制度(現状は明確な認定制度がない)が必要である。
坂巻資敏 (火曜日, 06 1月 2026 17:22)
スマートテロワール構想を実現するには、二つのストロー現象の改革が必要です。
二つのストロー現象とは
1)若者の大都会への移住
2)大店舗による地域資本の本社地域への移転
この二つのストローにより地方の若者(農家の長男、次男、三男)が農業を継承しなくなっている。互酬制度を確立し地方独自の地産地消の食品を作りたくても資本が足らない。
故松尾雅彦氏のスマートテロワール構想を実現するには人口50万人ぐらいの地域経済圏が必要であり、現在の市町村長達には松尾氏の構想しか地方を創生する道がないことが
理解できていない。相変わらず俺が村、俺の町の数千人から1万人の既存の利権範囲で地方交付税と補助金でしか創生を考えていない。
地方の若者が大学を卒業後地元に帰り、生涯を捧げられるような新たな産業構造を国家の産業政策として作らないとスマートテロワール構想は、構想倒れになってしまうのではないでしょうか。戦後の仕組は生みの親への子供からのリターンが殆どなく育ての親が子供の稼ぎを独占する仕組になっています。大企業で働く地方出身者の所得税は本社のある地方自治体で総取りになっている。これを出身地と勤務先で半々に受け取る。地方出身者の子供は25%親の故郷に納税させる。
今のふるさと納税は、自分の故郷を良くすると言う目的が明確でなく、また、その使用目的も明確でない。
既存の地方行政には、故郷から大都会へ移住した元住民の声が全く反映されていない。
育ての親の自治体は、大都会へ移住した地元民に対する個人情報や生活状況の把握を全く行って居ない。地方の創生には地方で育った人たち(故郷に愛着のある人)が知恵を出し合うのが良いのに、そうした仕組が地方の努力によって構築されないのも、地方、わが国の農業が衰退している大きな原因になっていると思量いたします。